僕が生まれ育った千葉県四街道市は、下総台地の高台に位置しており、いわゆる縄文海進の時代も陸地であった場所で貝塚であふれています。小学校の校庭には貝の破片が無限に散らばり、近くの公園を掘り返すと縄文土器が当たり前のようにでてくる場所でした。低地にあった温水プールに出かける時は、昔の海底へと自転車で一気に駆け下りるという感じで、とてもロマンチックなのです(そんなことを考えて町を歩いていた人は数少ないのかもしれないですが。。)。新興住宅地の周りは、25年前はまだまだ自然にあふれていました。里山で、アケビや山葡萄の実を取り、川で泳ぎ、百舌鳥の「はやにえ」や、モリアオガエルの産卵などが普通に見られる環境でした。2010年になろうとする今、このような環境で育つ子供たちはどのくらいいるのだろうと残念に思います。また、中学生の僕に強烈な印象を与えてくれた「地球大紀行」のような良質の科学番組もあまり増えていない気がします。 しかし、実際には、僕らの周りには、まだまだ自然にあふれていますし、BBCなども良質な科学番組を生み出しています。なくなってしまったのは、自然そのものよりも、自然の厳しさ、楽しさ、そしてその仕組みを教えてくれる大人の存在かもしれません。そういう大人の一人でありたいという気持ちが、僕の研究活動を支えるベースの一つになっています。ときに、研究活動に偏りがちな生活にもなりますが、常に、この気持ちは持ち続けて活動していきたいと思っています。